嫌いなのに離れられない『依存的敵対関係』とは?
『依存的敵対関係』という言葉を知っていますか?
一見矛盾しているように思える「他者への依存」と「怒りや不満」とが同時に存在する状態を『依存的敵対関係』と言います。
この関係性は、パートナーや親子関係、職場の上下関係など、さまざまな場面で起こりえます。
この記事では、『依存的敵対関係』の具体的な特徴や心理的な背景、そしてその解決方法について詳しく解説します。
この関係に悩んでいる方が、一歩前進するためのヒントを見つけられるよう、心理学的な視点からお届けしますね。
嫌いなのになぜ離れられない?依存的敵対関係とは?
依存的敵対関係とは?
共依存の関係性の中の1つで、相手に依存しながらも、その人に対して、怒りや不満といった敵対的な感情を抱えている関係性のことを言います。
夫婦関係や、恋愛(パートナーシップ)、親子関係や職場、友人関係など様々な人間関係の中で起こりえます。
依存的敵対関係の具体例
モラハラ夫と離れられない妻
日々のモラハラに傷つき、相手に対して、敵意を持ちながら、それでも離れない妻と夫の関係性は、依存的敵対関係です。
離れられない理由として、認知レベルでは、「経済力が、、、」「子供が、、、」「親が、、、」様々な理由が上がってくると思いますが、
心の中で起きているのは、依存的敵対関係です。
しかし、嫌いなのに離れられないという矛盾に、認知レベルでは納得が出来ないので、脳はその矛盾を解消するために、後付けでそれっぽ理由を作ります。
恋愛関係での束縛や攻撃の繰り返し
過剰な束縛をして、自分だけのものにしようとする一方で、パートナーを攻撃し傷つけることもする。
矛盾した行動の根本には、依存的敵対関係があります。
相手と離れることの不安感と、相手に攻撃されて苦しいことを天秤にかけた時に、依存的傾向がある人は、不安感から逃げるために、攻撃されて苦しいほうを我慢して受け入れてしまうのです。
敵対的依存関係の原因と心理的メカニズム
敵対的依存関係を作ってしまう主な原因は、幼少期に形成された愛着スタイルと、潜在意識に隠された『恐れ』と『欲求』にあります。
愛着スタイル
愛着スタイルは大きく4つに分けられます。
安定型
相手を信頼し、安定した関係性を築くことが出来ます。相手に依存しすぎず、対等な関係性を保つことが出来ます。
回避型
人との親密な関係を避け、一人でいることを好みます。感情を表現することが苦手で、自分のことを人に話したがらないという特徴もあります。
不安型
不安型は、自分に自信がなく、恋人や友人など周りの人の顔色を常に伺ってしまう。相手から見捨てられるんじゃないかという不安から、見捨てられないための行動をします。
混乱型
回避型と不安型が混ざり合って不安定になりやすい愛着スタイルです。
一人で不安を感じ、人と仲良くしたいが、親密になるとストレスを感じて傷ついてしまう、自分でもどうしたらよいかわからず混乱してしまいます。
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潜在意識に隠された『恐れ』と『欲求』
離れたいのに離れられないという心理的葛藤には、『恐れ』と『欲求』による葛藤がうまれています。
依存的な人は、相手への期待も大きい人です。
無意識にではありますが、相手が自分が望むように行動してくれることを過剰に期待しています。
しかし、相手は自分が望むように100%行動してくれることはないので、そこに不満と怒りが湧いてきます。
勝手に傷ついて、敵意を持ってしまいます。
そして、そんな相手からは離れたいのですが、依存心が強いので離れることもできません。
相手から離れて一人ぼっちになってしまうことに『恐れ』を抱きながら、
相手に対して「こうして欲しい」という過剰な『欲求』を持ち、それが満たされずに敵意となります。
どれだけ敵意を持ってしまっても、依存的で一人になることに『恐れ』を持っている人は、敵意があっても一緒に居たいと望んでしまうのです。
依存的敵対関係がもたらす問題
離れたいと願うほど、『敵意』を感じている相手と、それでも離れられないという葛藤を抱えた状態というのは、とても心に負担がかかります。
また、依存的敵対関係を作ってしまう相手は、自分自身の問題も当然ありますが、鏡の法則で、相手にも当然問題がありますから、モラハラ、DV、浮気症など、酷いことをしてくる相手である場合がほとんどです。
この状態に耐え続けるというのは、当然ですが、心理的ダメージはとても大きいものとなります。
精神的・感情的な影響
自己肯定感の低下
相手との関係性がうまくいかないことで「自分には価値がない」と感じるようになります。
暴言、暴力、批判や無視されるなど酷い扱いをされることで、どんどん自信を失っていきます。
不安障害
関係性が続くかどうか、相手にどう思われているかを常に気にして、不安が慢性化してしまいます。
特に見捨てられる恐れや孤独になる恐れを強く感じる人はとても多いです。
抑うつ
葛藤状態が長期間続くと、抑うつ状態に陥ることもあります。
「どう頑張っても抜け出せない」という状況が、無力感を強くします。
日常生活への影響
精神的・感情的な問題は、当然ですが、日常生活にも大きく影響を及ぼします
依存的敵対関係である相手との関係性だけでなく、その他の人間関係にも影響が出てきます。
仕事のパフォーマンスの低下
精神的ストレスが集中力や判断力を奪い、仕事の成果が低下します。
依存的敵対関係である相手が職場の人である場合、職場での直接的な人間関係のトラブルにも繋がります。
パートナーとの関係性での問題であっても仕事中にパートナーのことが頭から離れないなど、仕事に集中できない場面も多くなります。
友人関係の悪化
依存的敵対関係というのは、その関係性を経験したことのない人、このような心理的な症状がない人にとっては、理解しがたい問題です。
別れたらいいのに、別れられないという状況が理解できないのです。
いつまでもその状況を引きずっていることにより、友人に愛想をつかされてしまうということも起こります。
不健全な人間関係に依存することで、健全な人間関係をどんどん失っていきます。
依存的敵対関係を解消する3つのステップ
自分を知る
まずは、今の状況が、依存的敵対関係にはまってしまっているのかも知れないということを知っていきましょう。
そして、その根本は、あなたの愛着スタイルから来ています。
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まずは、自分の愛着スタイルの診断からしてみてください。
感情と行動のパターンを知る
依存的敵対関係にある人は、相手の些細な行動や言動に過剰に振り回されていて、心が冷静さを欠いています。
自分自身を取り戻していくために、自分の感情と行動パターンを知って、客観的に自分をみれるようになることで、冷静さも取り戻していくことが出来ます。
日々の出来事や感情を日記に書いてみましょう。
続けていくと、相手のどんな言動や行動に特に反応してしまうのか、自分の感情の動きがわかってきます。
あった出来事についても、定期的に振り返ってみましょう。
暴言、暴力、理不尽なことをされて続けて、それでも「相手がいないと私は何もできない」「離れられるわけがない」という心の思い込みがあるはずです。
それは、本当にそうなのでしょうか?
専門家の力を借りる
依存的敵対関係が深刻な場合、一人で解決するのは、難しい状況です。
「離れたいのに離れられない」「抜け出したいのに抜け出せない」
どれだけの期間、その葛藤状態に悩んできましたか?
根本には、愛着の問題が隠れていますが、幼少期から作り上げた深い問題でもあります。
そして、愛着の人達が持っているのは、強い『恐れ』です。
自分で、本を読んだり、学んだりすることで、しんどくなってしまう方も多いです。
私のところへご相談に来てくださる方は、自立心が強く、努力で積み上げてきたものを持っている方ばかりです。
しかし、愛着の問題に関しては、その努力家である一面が、かえって問題を悪化させる原因になっていることもあります。
『恐れ』を強く抱いているものについて、努力で何とかしようと頑張ることで回避がおこってしまうのです。
ですが、過剰に悲観的になる必要もありません。プロの力を借りて、正しいアプローチをしていけば、か解決していくことが出来ます。
問題を自分で拗らせるまでに、一度ご相談に来てください。
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